減損回避策5選

経営

上場企業経営層必見!減損損失を回避する方法5選を投稿します。私が監査法人と議論した経験を踏まえ実践的な内容を皆さんに教えます。直ぐに使えます。

上場企業は業績開示を行っており、業績によっては株価に影響が及び、株主への説明も苦しくなることが予測されます。経営者としては、何としても計画を上回る業績にしたいと考えているはずです。減損については業績への影響が大きく、何としても回避したいと思う経営層の方は多いと思います。そのお助けになればと思っております。

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減損とは

まずは基本的な事項ですが、減損についての知識が全くない方は、当サイトに減損の基本について詳しく解説がありますので、「実践解説4ステップ 減損会計とは」御覧ください。

実践解説4ステップ 減損会計とは

1.2期連続営業赤字にしない

減損の兆候(減損するか否かの判定)があるかどうか、最初の関門はここです。

減損の兆候があるとみなされるのは、詳細に言うと、大きく以下4つです。

1.営業活動から得られるキャッシュがマイナス

2.事業廃止等により固定資産から得られる収益が低下する場合

3.市場環境、技術環境、法的規則による著し外部環境の変化

4.市場価格の著し下落

実際には多くの場合、1によって兆候ありと判定される可能性が高いです

年度計画を策定する段階から必ず利益を出せる計画を作成するべきです。尚、実現不可能な計画については、その計画自体の信頼性が低下するため、減損兆候ありとなった後、将来キャッシュ・フローを計算する際に、実績と計画の差異を乖離率として計算に反映させられてしまう(監査からストレスをかけれる)でしょう。

2期連続して営業利益が赤字となった場合には、減損の兆候ありと判定される可能性が高いです。タイミングの問題もあるのですが、可能性は限りなく高いです。但し、減損判定ありとなっても、将来キャッシュ・フローと簿価を比較(減損テスト)を実施し、将来キャッシュ・フローが簿価を上回れば減損損失の計上は免れます。

結論は利益が確実に出る計画を作成し、2期連続で営業利益を赤字にしないということです。

では、次の項目で営業利益2期連続で赤字となってしまった場合の対応を解説します。

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2.業績悪化は一過性とする

万が一、上記項目の1.営業利益が2期連続で赤字(OR四半期の途中で通気赤字見込みになりそうな場合)で、減損兆候になる可能性があるには、業績悪化は一過性のものと言い切ってみてください。つまりは、以下3項目の減損の兆候に当たらないか判定をします。

2.事業廃止等により固定資産から得られる収益が低下する場合

3.市場環境、技術環境、法的規則による著し外部環境の変化

4.市場価格の著し下落

例えば、最近ですと新型コロナウイルスの影響で東南アジアのロックダウンの影響により一時的に売上減少するも、来期以降はワクチンにより感染者が激減し、withコロナで経済も回復、売上も同時に回復するという予測が立てられると思います。これにより、減損兆候なしと判定される場合もあります。

次の項目は減損兆候要件をすべて満たしてしまった場合の対応です。

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3.減損の単位を変更する

前項の減損の兆候4つを満たしてしまった場合、つまりは減損兆候ありが前提です。次に将来キャッシュ・フローと簿価を比較しますが、この時に減損グルーピングの単位を変更出来るか検討をします。

前提:

当初グルーピンクは、子会社ごと。

当該子会社が2年ごとに工場を建設し、合計3工場。

最初に建設した工場は黒字化出来ているが、会社全体は営業利益赤字。

子会社の営業利益が赤字となった場合には、グルーピングを子会社から子会社の工場ごとに変更をします。当然、最初に建設した工場は黒字化出来ている場合です。工場を建設した後の2,3年は売上がまともに計上されるまでは、経費、償却費がかかり赤字となるのは当然です。

ついでに言うと、子会社を新設した場合に、約3年間は減損の兆候については考慮されません(明確な年数はありませんが)。

さらに、将来キャッシュ・フローの計画を作成する際は、工場ごとの計画を作成し将来キャッシュ・フローが各工場の固定資産の簿価を上回るように計画を立案します。もちろん根拠のない計画はのちに予実差異で悪い方向に出ますので、確実に利益の出る計画を作成することが重要です。ここが減損会計の本質と思います。

次の項目は将来キャッシュ・フローと簿価を比較し、将来キャッシュ・フローが、簿価を下回ってしまった場合の対応です。

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4.将来キャッシュ・フローの期間を変更する

減損兆候ありで、将来キャッシュ・フローを見積もる際に、固定資産台帳を用いて、キャッシュ・フローを生成する主たる資産の加重平均残存耐用年数を計算します。この年数によって将来得られるキャッシュ・フロー期間が決まります。

例えば加重平均残存耐用年数が8年であれば8年分のキャッシュ・フローを計算し、その合計と簿価を比較し、減損するか否かを決定します。

この時、製造業であれば加重平均残存耐用年数を計算する際、主として機械装置のみで計算をする場合が多いと思いますが、これを、

残存耐用年数を計算する際に主たる資産に建物を追加するです。

建物も機械と一体となって、キャッシュ・フローを生成する一部であるという理屈をでっちあげるのです。

これにより、建物の簿価は大きく、耐用年数も機械装置よりはるかに長いため、将来得られるキャッシュ・フローの期間を長く見積もることが出来、結果的に減損を回避出来るものと思います。

肝心なのは、建物と機械装置をいったいする考え方です。例えば、機械装置が特殊で、粉塵が多い環境で建物の劣化も早いとか、機械装置の大きさに合わせて建物を建築したため通常の建物とは異なる機能が付加されている等の理由を考えるしかありません。この辺は、会計士と交渉です。

5.固定資産の売却収入を将来キャッシュ・フローに加算する

減損兆候ありで、将来キャッシュ・フローと固定資産の簿価を比較(減損テスト)し、将来キャッシュ・フローが簿価を下回ってしまった場合、固定資産の売却収入を将来キャッシュ・フローに加算してください。具体的には土地や建物です。土地については、恐らく含み益が出ると思いますので(日本の製造業は歴史があり)、これらが将来キャッシュ・フローの収入に相当な金額でプラスされるはずです。

つまりは、使用価値の計算を規定通りに実施するということです。

ただし、不動産評価額のキャッシュ・インに占める金額的影響が大きい場合には、不動産鑑定評価が必要となり監査報酬UPになります。ここは止む無しと考えた方が良さそうです。

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あきらめる

上記、方法でも回避出来ない場合には、そのビジネスが将来的に価値を生み出さないものということですので、ビジネスの方向性を大きく切り替えるべき時期と認識するべきでしょう。

諦めて減損損失を計上します

減損損失を計上すると、翌期は減価償却費が一時的に少なくなり、利益が出た錯覚に陥ります。これは麻薬と同じです。内部浄化作用が効かなくなります。社内でこのビジネスをどうやったら復活出来るか、どうやったら利益が出るかという革新的なことに触れず、利益が出たから安心してしまうのです。その先はじり貧でしかありません。

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まとめ

減損損失を計上するということは、将来のビジネスのあり方を見直せと言っているようなものです。翌期利益が出るから減損すればいいじゃんと考えるのはよいのですが、必ず、減損したビジネスを将来どうするか(撤退するのか等)を考えないと、会社自体の存続にも係わってきますことを、十分にご留意ください。減損は絶対にやってはだめです。これは、私が経験してきた結果の結論です。

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