ひとことにキャッシュフロー経営と言っても、具体的に何をどうしたらよいかと疑問に思われるかもしれません。海外子会社を保有する上場企業の経理部長が経験した具体的な方策についてやさしく説明します!ぜひ、実践してもらい強固な財務体質になっていただけたらと思います。
この内容の対象者は、入社5年超の社会人、企画、経理部門、海外拠点長、海外拠点管理者、お金に困っている社長を対象とします。
資金繰りを良化するには?
結論:貸借対照表の借方(左側)を圧縮する
貸借対照表が分からないという方は 簿記初心者必見!貸借対照表とは? にやさしく記載がありますので、ぜひ参考にしてください。
会社の資産勘定となるものについて、金額を圧縮することによってキャッシュが増加します。
キャッシュを増加させる標準的な手法は、利益をあげてキャッシュを生み出すことです。
たた利益を生み出すだけでは、真にキャッシュを生み出す経営になっていません。
意識してキャッシュに強い財務体質に変化させていくことが必要です。
つまりは、貸借対照表に着目し、キャッシュに強い会社の構造に持っていくということです。
具体的な方法
貸借対照表において科目ごとに、キャッシュを生み出す方法を解説していきます。
現預金
余剰な現預金は保有しないことです。
余剰なキャッシュは、キャッシュに働いてもらっていない状況であり、キャッシュの手待ち時間と受け止めてください。非常にもったないことです。
キャッシュは最低限を確保しておくことをお勧めします!
キャッシュ残高について会社によって様々ですが、目安としては1か月の支払合計額を残高にします。
これは、例えば1か月入金が無かった場合でも、会社は資金ショートしないからです。
なお、外国送金を実施している会社についてはキャッシュを増やせる方法があります。
詳しくは 海外送金 スプレッドとは?儲かる方法教えます! にやさしく記載あります。有料級ですので、ぜひ参考にしてください。
在庫
在庫は徹底的に減らすです。
在庫はキャッシュと同様です。製造業であれば材料、人件費、その他経費が、商社、流通業であれば商品がキャッシュを生んでいない状態です。
このキャッシュを生んでいない状態(=在庫を保有する)を極力圧縮することで、余剰な在庫(=キャッシュ)を保有しないようにします。
得意先によっては安全在庫数量を指定する会社があると思いますが、交渉して圧縮するようにしましょう。
なお、在庫管理においては しーくり くりしー 在庫の留意点6選 に在庫管理のツボが分かりやすく記載されております。ぜひ、ご覧ください!
売掛金・未収入金
遅延している債権があるか確認、万が一ある場合には取り立て屋になって回収をします。
売掛金については、通常、未回収年齢表を作成し管理しているかと思います。
あまりに入金が遅延している得意先については、早期回収を促します。
例えば、取引条件を変更して入金後、製品やサービスの提供をします。
なお、海外の得意先については万が一支払条件変更が通らずに遅延が続いた場合には、入金しないと製品やサービスの提供をしない方法も有効です。
他の方法として銀行のファクタリングを利用する方法もあります。こちらは売掛金残高のたしか約数%を手数料として取られますが、取り立ても実施してくれるので保険という意味で手数料を考えればよいかと思います。
ちなみに、銀行以外でもファクタリングサービスがあります。こちら電子契約が可能で弁護士ドットコムのクラウドサインでスピーディーに資金化が可能です。
売掛金だけではなく、未収入金についてもフォローします。
例えば、固定資産の売却や補償金等で未入金のものです。
なお、日本国内については税金の還付は国の方も還付加算金4%が計上されるので、相当(早い)なスピードで還付されるため心配ご無用です。
固定資産
遊休になっている設備があれば売却してスクラップ代くらいは入金出来るように手配する。
年1回、固定資産の実地棚卸はされていませんか?
その調査で、使用していないものかつ今後使用する予定のないもの(遊休資産)については、早急に処分をすることをお勧めします!
というのも、必要のない資産は、場所代や固定資産を管理する工数がかかるからです。速攻スクラップとして売却し収益計上しましょう。
なお、遊休資産を保有することは減損損失の計上が必要となります。
ここで、減損ってなに?という人のために、減損については 実践解説4ステップ 減損会計とは に詳しく記載があります。ぜひ、ご参照ください。
また、減損回避方法については 減損回避5選 に有料級の説明がありますので、ぜひご覧ください。
減損を計上する前に、遊休資産を除却してしまうのがベストです。
貸付金
回収遅延先に連絡し回収します。
とはいえ、約定があると思いますので、これによって正しく処理をするといった方がよろしいでしょうか。
温情で利息を取っていないとかは別問題で、税務署に指摘されるから注意しましょう。
買掛金・未払金
資金繰りについては「支払は遅く、入金は早く」が鉄則!
日本人くらいです、支払がきっちりしているのは。
なんと、インドでは、いかに支払を遅らせるかが優れた経理Mgの証になっています!
いま、インドの話題を出しましたが、日本国内にいては分からなかったことです。話は少しそれますが、キャッシュフローを体で体験するため海外出向をお勧めします!
海外出向辞令出された!迷うな飛べ! に海外出向について客観的な立場で投稿しております。かならず、皆様のおちからになると思いますので、ぜひご覧ください。
話しを戻すと、ルーティンの支払いについては、毎月確実に実施しますが、突発的な支払については必ず、支払条件を確認しましょう!
すべてがずべて、至急支払が必要ではありません!
この辺は、常日頃の意識の持ちようです!常にキャッシュフローについて意識を持つようにしましょう!
正攻法として粗利を増やす
粗利=販売個数×(単価ーコスト)
なので販売数を増やす、単価を上げる、コストを下げるのすべてをやる必要があります。
消耗品費
月次予算を常に把握しておき、予算超過しそうになったらアラートが出てくるしくみにする。
例えば、購買部門に月の予算金額を事前に連絡しておいて、実際の検収額が予算近くになりそうであれば、マネージメントの責任者に連絡が入るようにするしくみを作っておくことです。
これにより、無駄な費用を使わなくてすみますね。
その他
・利益に繋がらない仕事はしない:法定外の会議議事録を何時間もかけて作成等々。
・会議の削減:会議は社員の人件費が発生しています。情報共有は極力メール等で済ませましょう。
・PPTの削減:必要であれば作成。何十枚も作る必要はありません。要点だけでOK。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
具体的な施策がイメージできたと思います。
コロナで売上が戻らず、資金繰りがタイとになっている会社は多いと思います。
このピンチをチャンスに筋肉質な財務体質に変えるべくキャッシュフロー経営して徹していただけたらと思います。
上記の施策はかならずや、皆様の困りごとを解決するものと思います。
ぜひ、実践していただけたら幸いです。
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