為替変動と移転価格税制

経理実務

昨今のドル独歩高の影響により、連結グループ内での取引、特に対ドル取引においては赤字が発生する可能性もあり為替変動を売価に反映する必要性が高まっている。税務が特に注目するグループ間取引、特に海外取引についての対応方法を投稿します。

このブログ対象読者は事業会社の特に事業部の関係者、経理部、経営企画の方です。

為替変動で子会社が赤字

対ドルでは各国通貨が安くなっております。

例えば元、バーツ、円は以下の通りです。

年月日1USD当たり人民元1USD当たりタイバーツ1USD当たり日本円
2021年10月22日6.3元33.2THB113.4円
2022年10月22日7.2元37.9THB147.6円
14%UP14%UP30%UP

飛び抜けて円が安くなっています!この先日本の国力が弱くなるのは目に見えているため止む無しのところではあります。ここでは円はおいて。。。

例えば、

タイ子会社からUSDで製品を輸入し、中国国内に元で販売している中国子会社があったとします。

この場合、中国子会社については、USD高人民元安の影響により

今まで100USDで仕入れていたものは

100×6.3元=630元:①

で仕入れていましたが、

100USD×7.2元=720元:②

①-②=90元

仕入値が増加します!!

これにより、中国の子会社が赤字となる可能性があります。

この時の回避方法としては、

1.得意先が人民元ですが仕入コストUPとのことで,中国の子会社が得意先に請求
2.為替変動分を仕入元(タイの子会社)と折半

1が不可能であれば2を実施するしかないのですが、ここで注意です!

ます、為替については影響が出た年は税務も許容してくれるますが、翌年是正もなしに放置すると課税の公平性から指摘される可能性があります。

最良な方法は得意先と同様に

本当に折半でいいの?という問いがあります。多くの得意先が為替変動を加味して値決めをしている場合(よく言うフォーミュラ)には、その方法に準じて子会社も価格改定することが移転価格上は有効です。

プライム上場の上の方の会社は、そのようにフォームラが標準化されているようです。

ただし、プライム上場の上の会社以外は、そのフォーミュラの方法も得意先すべてが統一されてなく、フォーミュラを実施している得意先とそうでない得意先と混在している場合あります。

但し、ほとんどの中小企業は移転価格税制対策のための為替変動変動ルールはない

調査をしていくと、上場していない会社については移転価格税制対策として為替変動のルールを作っている会社は、あまりないようです。

移転価格文章については 当ブログ 移転価格文書を分かりやすく解説! にくわしく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

とある会計事務所の方もあまり聞いたことがないと言っていました。

ただ、為替変動のルールについては上場企業では実施しているようです。プライム企業の上のレベルでは当たり前です。

変動分は折半で

ちなみに、判例としてその変動分を折半というのは良くあるようです(顧問税理士より)。

逆に折半以外でルールを作成するとなると、例えば7:3とかですと説明が非常に難しくなりますね。

判例で上がっている事象を使うにこしたことはありません。

社内ルールを構築

今回の大きな為替変動の都度、対応していては経営になりません。

しくみが必要です。

まずは、事業部側として

1.年1回、為替を含む原価の変動を考慮し販売単価の改定(プライム企業では当たり前のようですが)または、フォーミュラ(為替や物価変動をあらかじめ基本取引契約書に入れる)。

尚、このルールを新たに導入する場合には、必ず影響額を調査してから実施することをお勧めします。

これにより計画の利益が達成出来ないことになる可能性もあるからです。

必ず、税理士や会計士に相談してください。

次に、経理部側として

1.子会社の移転価格文書を本社経理部門によりモニタリング
2.もし適正レンジから外れそうになった場合には、事業部にアラートを出す(年2回程度)

上場企業の連結グループ子会社においては、移転価格文章を作成していると思います。

移転価格文書の適正レンジを本社側がチェックして、取引をコントロールすることが必要です。

年2回としたのは、レンジから外れそうになった際、単価調整等が間に合うようにです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

大きな為替変動については、移転価格に対してある程度は説明出来るものの、その状況が継続されると国税を納得させる説明が必要になります。

顧問税理士や会計士に具体的なやり方を確認する方がよいでしょう。

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