経理部員の業務は主として定型業務。評価に関しては減点しかなく、加点は望めない。これでは部員のやる気がなくなり、会社としても競争力が無くなります。そこで、いかに部員のモチベーションを上げ、加点評価をしやすく出来るか!のテクニックを上場企業の経理部長自ら教えます!
このブログの対象者は経理部員、経理マネージャー、経理部長です。上場、非上場は問いません。
定型業務に対する評価の限界
経理部門の人事評価って難しい。
なぜなら、経理部の業務のほとんどが、定型業務であり毎月、毎年業務の変化が乏しいため評価しにくいということです。
例えば、支払処理をしている経理スタッフの評価に関してお話ししましょう。
会社の支払日に確実に仕入先に対して振り込みをすることを支払処理とします。
この支払処理を担当するスタッフは毎月同じ業務を繰り返しやるだけです。
ここには、業務の工夫は多少あるにせよ、同じことの繰り返しです。
極端に言うと、機械と同じ扱いです。これを読んでいる支払担当者の方、すみません。例なので少し極端に表現していますことをご了承ください。
であれば、個人に対する評価は加点をすることは出来ません。
ここで、残念な状況をもうひとつ!
例えば、この業務処理を間違えて支払日に振り込みが出来なかったとします。
そうすると会社全体の評判が悪くなります。
定型業務は出来て当たり前です。
これにより、担当者の評価は確実に減点されます。もちろん最終的には責任者が責任をとるのですが。
このように、定型業務で減点されるばかりで、加点されることは、かなり稀なことになります。
評価対象者が職制であれば、マネージメントが入ってくるので、スタッフとは異なった評価になり、これはこれで難しい内容です。
非定型業務をいかに目標設定するか?
前項のとおり、経理業務は定型業務が主たる業務です。
上場企業であれば東京証券取引所に決算短信を発表したり、金融庁に有価証券報告書を提出したり、中小企業においては税務申告をしたり、上場、非上場問わずに入金、支払、固定資産、月次、決算等、あらかじめ決められた事項をこなしていくのが経理部の業務です。
そして、間違えると減点され加点はない。
なんだか、働き甲斐がなくなりますよね!
そこで、経理部員が人事評価をされ、会社に貢献出来るように工夫する必要があります。
それが非定型業務です。
非定型業務を年度目標に入れることによって、今までにないような改善や、業務改革、またはモチベーションUPが期待できます!そして、評価の幅を広げます!
ただ、当事者はやること増えて大変だ!となると思いますが、そこは上司の言い方しだい、持っていき方しだいです!
では、具体的にどのような内容が非定型業務になるかというと簡単にまとめました。
こちらは、スタッフが対象です。職制に関しては以下とは異なります。
スタッフの非定型業、ズバリ定形外なら内容は、なんでもいいんです!
項目 | 内容 |
スプレッドシート改善 | 月次や決算で使用しているスプレッドシートの数式やスタイルを変更し処理時間を削減 |
仕訳変更 | 月次や決算で入力している仕訳を見直し、効率的に新しい仕訳を入力し時間削減 |
書類整理 | 書類倉庫を見える化し、見たい書類を抽出する際に時間を削減 |
資金繰 | 銀行支払手数料や為替スプレッドを比較しコストダウンをする(ちょい難) |
法人税 | 会社に適用できる税制改正を探し出し、実際に税額控除等を実施する |
実地棚卸 | 固定資産や在庫の実棚の方法を効率化 |
会計システム | 手入力していた仕訳をエクセルUPロードや自動仕訳で連携させる |
社内会計教育 | 経理部以外で会社の数字を扱う社員を教育 |
等々、挙げるときりがないのでこの辺で止めておきます。
このようにして、非定型業務でかつ会社の利益やキャッシュ創出に貢献する内容のものをスタッフと話し合いながら決めていきます。
あるいはスタッフから、やりたいことを吸い上げるのもよいでしょう。
製造業は小集団で改善発表会を実施している会社が多いと思いますが、その程度の内容で良いと思います。
これが職制の場合ですと、ひとつ上の内容をやってもらわないと困るのですが。
では、今度は職制の非定型業務について挙げてみます。
項目 | 内容 |
月次、決算早期化 | 現状の締日を前倒しで月次、決算を締める |
会計システム | 高率化により会計システムを導入 |
資金 | 全体最適による資金繰りや為替予約を実施 |
法人税 | 移転価格税制対応 |
部内外教育 | 経理スキルUPに勤める |
監査対応 | 効率的な監査対応を実施 |
部員のやる気スイッチを押す | 経理部員は保守的であるため最前線に出ていくようなマインドを醸成 |
コミニュケーション能力 | 役員、部下等に説明を出来るようにコミニュケーション能力を鍛える |
部門間の連携 | 部門間での効率化 |
等々、この辺で止めておきます。
これも、あなたが部長であれば課長と十分な話し合いをして目標を作っていけばよろしいかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
結論は定形外業務をいかにさせるか?その達成度合いによって評価をするです。
結局、会社は人から成り立っており、人がやる気にならないと会社の競争力も無くなるので、そういう意味でも経理部員をいかに活性化させるかが、部長の仕事です。
定型業務だけやっていては、会社の未来はありません。また、個人の評価も難しい。
将来的にもAIの進化で定型業務はITに置き換えられます。その時、失業しないようにも非定型業務にも目を向けていく必要があります。
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