20代の間接部門で働く社会人または、経理部門で働く減損会計担当者のために加重平均について解説をしていきます。平均は良く聞きますが、加重平均という計算方法については、あまり馴染みがないですよね。加重平均については前半で解説。後半は上場企業の経理部員が、ある事業の業績見通しが悪化し減損テストをする際に、将来キャッシュ・フローを加重平均残存耐用年数を用いて算出しますが、この加重平均耐用年数についての計算方法を解説します。
知っているようで知らない計算方法です!まあ、知らなくて当然とは思います。
平均と加重平均の違い
いきなり加重平均を解説するのではなく、基本の平均から加重平均に移っていきます。
平均
例題)
売上高で賞与の評価をします。平均の売上を算出します。
部門 | A営業部 | B営業部 | C営業部 |
売上高 | 200 | 100 | 60 |
平均の算式ですと
この計算はサルでも分かりますね!
そして、120という数字を使って賞与をいくらにするかを決定します。
但し、これは各部の人員が同人数であった場合には、問題は発生しないと思われます。
もし、各部の人員が異なっていた場合には?
加重平均
先ほどの問題と同様で、
例題)
売上高で賞与の評価をします。
部門名 | A営業部 | B営業部 | C営業部 |
売上高 | 200 | 100 | 60 |
ここで、各部の人数が異なる場合を前提条件に加えます。例えば
部門名 | A営業部 | B営業部 | C営業部 |
人数 | 200 | 50 | 10 |
「平均120」で賞与を決められてしまうと、C営業部の人は10人しかいないのにA営業部と同じ評価では納得出来ないとクレームが来ると思います。
その理由は、次の作表を見てください。
まとめると、
部門名 | A営業部 | B営業部 | C営業部 |
売上高 | 200 | 100 | 60 |
人数 | 200 | 50 | 10 |
1人当たり売上高 | 1 | 2 | 6 |
ここで、1人当たり売上高に注目です。2営業部は10人しかいないのに、60も売った。
一方、営業部は200人もいて200のみの売上。
結果は明らかにC営業部が最も頑張っております。C営業部の成果は全体の平均に与える影響が大きくなります。
このように部によって頑張ったか否かを反映するため(比重を部におく場合)に計算式を考えると、
この計算方法を「加重平均」と言います。各営業部の実力を反映した計算式です。
少し難しい内容ですが、「比重」を置くということで計算する方法が加重平均ということです。
ここまでは、平均と加重平均の基礎編でした。
次は、応用実践編です。少し難しいかもしれませんが、集中して読解をお願いいたします。
加重平均残存耐用年数とは
次に応用編として、上場企業の減損担当者が将来キャッシュ・フローを計算する際に使用する固定資産の加重平均残存耐用年数について、計算方法を解説していきます。
尚、減損損失の意味については、実践解説4ステップ 減損会計とは に詳しく書てありますので、参考に読んでみてくださいね!
まずは、減損の対象となる固定資産台帳において、このような資産があるとします。
求めるのは加重平均残存耐用年数です。加重平均という言葉を除くと、残存耐用年数です。
これであれば現在-取得費で残存耐用年数が単純に算出されます。
今回は加重平均をします。
加重平均とは、前の項目ですと人数に比重を置いていましたが、今回は各簿価に対し比重を置きます。
1つの資産の残存耐用年数=(簿価×残存年数)÷(簿価)
の計算式が成立します。
これらを、加重平均すると
となります。上の加重平均とはの項目にておいて人員に比重を置いていましたが、簿価ですので分母は簿価、分子は簿価に対して残存年数をかけるのです。
図解をすると分かりやすいと思いますので、以下参照ください。
回答は5.9年と算出されます。
今は固定資産が3つしかありませんが、本来であれば何百、何千という膨大な数となります。
減損の解説を補足としてしますが、この残存耐用年数により将来得られるキャッシュフローの期間が決定されます。イコールこの期間だけはキャッシュインの期間となるのです。どうにかして、ここを長い期間にすることが、減損回避の重要な論点となるでしょう。
減損回避の方法を知りたい人は 減損回避5選 に詳しく記載あります。ぜひ、参考にしてください。
まとめ
いかがでしたか?
平均法と加重平均の違い。以外に知らない人も多く、ネット検索している方は多いのではないかと思います。
また、減損テストの際の加重平均残存耐用年数の求め方も、なかなか難易度高い計算式と思っております。
加重平均残存耐用年数については、検索しましたが、ネット上にはなく(私の検索する根気が無かったかもしてませんが)、計算方法を知るのに苦しみました。こちらで皆様の悩みが解決してくれることを祈っております。
なお、特別に投稿してほしいトッピクがあれば質問欄からお待ちしております。
可能な範囲で投稿させていただきます。
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