経理部の資金担当者は「スプレッド」という言葉を聞いたことがあるかと思います。借入の時のレートや海外送金時の為替レートがそうです。銀行員なら詳しいのですが、経理部員でも資金繰りをやっていない人はなかなか馴染みがない言葉ですね。今回は、海外送金時のスプレッドについて解説していきます。このスプレッドは会社ごとに異なり、銀行と交渉することにより実際の支払や入金時のキャッシュやPLを良化させることが可能です。
このブログの読者については経理部の方、財務初心者、銀行に手数料をどっさりもっていかれている会社の経理部員で資金繰り担当者が対象です。上場企業の経理部長が経験から解説します!
これ絶対もうかります!為替は知っていると知らないでは全く結果がことなりますから!
ぜひ最後まで読んでください!
TTB、TTS、TTMとは?
スプレッドの意味を理解する前に海外送金については、これらの用語の意味を理解するところから始めます。
TTBとは?
銀行がお客さんから外貨を買うレート(=銀行が外貨を買う時のレート)
Telegraphic Transfer Buying rateの訳です。
これは海外から日本に入金する際に使うレートです。
銀行が外貨を購入して円貨で客先の口座に入金するという意味です。
TTBとは?
銀行がお客さんに外貨を売りレート(=銀行が外貨を売る時のレート)
Telegraphic Transfer Selling rateの訳です。
これは日本から海外に送金する際に使うレートです。
銀行が客先の口座から円貨を売って外貨にするという意味です。
TTMとは?
TTBとTTSの仲値(中間)です。
Telegraphic Transfer Middle rateの訳です。
基準レートです。
(TTS+TTB)÷2=TTM
スプレッドとは?
TTB・TTSとTTMの差のことを言います。
TTM ー スプレッド = TTB
TTM + スプレッド = TTS
TTB ←スプレッド(銀行手数料控除)← TTM →スプレッド(銀行手数料加算)→ TTS
つまりは、TTMを基準として銀行の手数料(マージン等)を上乗せして、差し引いたレートがTTB,TTSということです。
上記理解が難しいようであれば、TTMはTTSとTTBの中間であり、そして、それぞれの差はスプレッドとだけ覚えていただければよいと思います。
会社はこのスプレッドを圧縮することにより、キャッシュの増加と利益の抽出が可能となります!
金融機関に交渉してみよう!
海外送金手数料は以下から成り立っています。
1.為替マージン(スプレッド)
2.送金手数料
3.受取先でかかる手数
皆さんは海外送する際には、発生する費用は、通常 2.送金手数料のみと思っていたのではないでしょうか?
実は送金する会社においてはスプレッドも発生しており、ダブルで銀行は手数料を受け取っているということになります!
ご存じでしたか?
さらに、3については送金する会社にはかかりませんが、受け取る会社が連結子会社であれば、連結グループにおいてはトリプルで手数料が取られているということになります!
さて、ここで交渉のチャンスです!
もし、複数の銀行で海外送金を実施しているのであれば、各行のスプレッドを比較してみましょう!
また、送金手数料や受取手数料も加えて調査して一覧表を作成することをお勧めします!
これにより、どの銀行が競争力がないのか焙り出し、交渉をしてくことになります。
ちなみに、月に1回しかない取引でも年間では12回もあるので、それなりの金額になります。
逆に、年1回しかない取引でも大口であれば影響は大です。
ぜひ、年間の取引推移を洗いだすことをお勧めします!
確実にあなたの会社にとって有利になるでしょう!
どのように資金やPLに効いてくるの?
銀行との交渉の末、例えば、このスプレッドを圧縮した場合、
海外からの売掛金の外貨入金は入金額が多くなり、入金額も増加。
海外への買掛金の外貨支払いは支払額が多くなり、円貨の支払いが減少する。
海外子会社からの配当金が増加、入金額も増加する。
と良いことばかり!
このように儲かります!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
経理部員でも通常の仕訳入力しかしていない人ではわからない内容かと思います。
資金繰り担当者も海外送金初心者であればだれかに教えてもらわない限りは、把握することは難しい内容です。
このブログを読んで、少しでもあなたの会社の資金繰りや財務諸表が良化することを祈っております。
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