長い間、至近距離で監査法人で働く会計士の様相を見て来た上場企業の経理部長としては、今、監査法人に入所することの利点が見当たりません。監査法人を目指して勉強している方は、この記事を見ないでください。

高い離職率


監査法人に入所した際のメリット・デメリットがありますが、今やデメリットがメリットを上回っているかの如く、監査法人を退所する会計士をよく見ます。
大昔30年ほど前は、上場企業においてJSOX(内部統制)や四半期決算はなく、会計士は8月に長期連休を取得出来るほど、業務に余裕がありました。
この数十年の間、株式市場の変化、国際的な会計基準変更等により、経理部を取り巻く環境は劇的に変化しました。
JSOX(内部統制報告制度)については、情報開示の信頼性を確保するために、企業の内部統制を図る目的として仕組み化されました。
とにかく仕訳から有価証券報告書までのフローや、マニュアル、発生し得るリスクをいかに抑えているか等々の書類を作成し、監査を受けるのですが、今までの監査にこの手続きが加わっています。
監査法人はいくら人がいても、監査が追いつきません。
さらに、四半期決算制度が入ってきて上場会社の経理部門は、四六時中決算を行っているように変化しました。決算=ルーティン作業となりました。
このように、会社の経理部と運命共同体の監査法人は、激務で深夜残業当たり前となってしまったのです。
ワークライフバランスなんかあったもんじゃありません。
ここでひとつ、実体験を語ります。
ある日、夕食が済んで、これからTOEIC試験の勉強でもしようかという時に1本の電話。
これは監査法人の会計士からの電話。
時間はすでに22時を回っていました。
「明日までに、***資料を作成しないと審査に通らない可能性があります」
審査というのは、監査法人内の四半期レビューで実施し監査チームの審査で、それはそれで大事なのですが、いったい今何時?
明日でも間に合うでしょう?
といったところです。
会社のために、遅くまで仕事していただき感謝なのですが、22時に電話をかけてくる方も感覚が壊れていますね。
これでは、入社5年以内の新人が半分退職するという状況もすぐに推測出来ます。
中には、深夜残業が続いてうつ病を発症した人は2人知っています。
監査法人から独立しフリーランスへ


最近、私の周りでもこのような方が増加傾向です。
会計士協会を利用して仕事を得る等、コネクションを使って仕事を獲得し生活する方法もありますが、ある程度営業センスがないと仕事が取れません。
もし、人当たりが良く、熱心に財務、経営について教えてくれた人は、例えば、クライアントであった会社から社外役員やコンサルタントとして受け入れられるケースもあるのです。
実務に弱い


監査法人に所属する会計士の多くは、監査しか経験がありません。
若い会計士から、こういったことを言われた経理部員がいます。
「葬式に行った時、会社名で香典を渡されたと思うのですが、領収書を見せてください」
基本的に、社会経験の不足?実務経験不足?のどちらか不明ですが、こういう人もなかにはいます。
また、実際に仕訳伝票を会計システムに入力した経験もないので、実務で勘定科目を何にするかとか、FBを使った支払の方法等々も実際にわかりません。
要するに潰しが効かないのです。
以外に経営に疎い


監査の経験しかないので、業績が悪化した場合の打ち手が出ない。
具体的に利益を出す方法というのが会計上のテクニックしか持っていないということです。
また、基本的に会社運営をした経験もないので、経営に関するアドバイスも出来ないということが、残念なところです。
年収は良いが、人生仕事で終わる

スタッフは残業が多く、年収もかなり高い。
社員は高額な収入を獲得出来ます。
一方で、業務量が半端ではありません。
稼いだお金を使う時間がなくなるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
あくまでも個人的な見解ですので、監査法人に入所するか否かは個人の判断です。
この記事は監査法人に入所するなとは言っておりませんことをご留意ください。
今、会計士の勉強をしている人は多くいると思いますが、個人的な意見ですが、監査法人に入所しても監査法人で働いていたことが、キャリアになるとは考えにくと思います。
しかしながら、退職した多くの会計士は、退職したのにもかかわらず、EY退職とか、DEROITE退職とプロフィールで書いている方を良く見かけます。
5から6年で退職される方のスキルは、経理部に入部しても即戦力は難しいと感じています。
であれば、監査法人に入所するより会社に入社して、実務を覚えた方が仕事も楽しく、スキルもよっぽど向上するものと思います。

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